事業を円滑に進め、企業をより成長させるためには、自社に合った優秀な人材を採用しなければなりません。
とはいえ、採用はそう簡単なことではなく、
「頻繁にミスマッチが起こっている」
「そもそも募集がない」
というような悩みを抱えている担当者、経営者の方もたくさんいます。
このような状況を打開するための施策として近年注目されているのが「採用広報」です。
今回は、採用広報とは一体何か、どうやって進めていけばいいのかということについて詳しく解説していきます。
採用広報とは?
採用広報とは、自社の魅力や働き方、やりがいなどを”企業が自ら発信すること”を指します。
採用に苦戦している企業の中には、求職者からの応募があるまでただ待ち続けているケースもあるのですが、採用競争が激化している昨今においては、ただ待つだけでは期待している成果を上げられません。
企業が自ら情報発信を行うことにより、認知拡大や興味付けを行えるため、効率的に採用活動を行えるようになるのです。
採用広報に力を入れるべき理由
では次に、企業が採用広報に力を入れるべき理由について詳しく見ていきましょう。
メディアが多様化しているから
これまでは、求人サイトや紙媒体メディアのわずかなスペースに自社の情報を載せるといった方法が主流でした。
しかし、デジタル化が進んでいる昨今では、
・自社サイト
・SNS
など、様々なメディアを駆使して採用活動を行う企業が増えています。
採用の間口が増えたことは大きなメリットですが、求職者が転職や就職をするために閲覧する媒体が増えたため、ただ待っているだけでは期待している成果を上げにくくなっているのです。
採用広報を行い、自社の情報を様々な媒体で発信していくことにより、求職者に見つけてもらいやすくなるため、採用活動を成功させやすくなります。
求職者が抱えるニーズが変化しているから
コロナウイルスの蔓延や働き方改革により、一昔前と現代では、企業のあり方やスタイルも変化しています。
同時に、求職者のニーズも変化しており、
「フルリモートで働きたい」
「ワークライフバランスを重視したい」
といった、新しい価値観や考え方を持つ方が増えているのです。
採用広報に力を入れることによって、働きやすい環境であることや、様々な働き方に対応していることをアピールしやすくなります。
潜在層へのアプローチが可能になるから
採用活動を成功させるためには、潜在層へのアプローチも重要です。
現在は転職が当たり前となっており、
「良い企業があったら転職をしたい」
「のんびり転職活動をしたい」
というように、緊急性は高くないものの、転職を検討している人材が多くいます。
採用広報に力を入れ、様々な媒体で情報発信を行うことにより、このような潜在層にアプローチしやすくなるため、スムーズに自社に合った人材を集められるようになるのです。
SNSを活用する求職者が増えているから
求人サイトや転職エージェントを利用している求職者も非常に多くいますが、現在ではSNSを駆使して転職活動を行っている方も増えています。
採用広報の一環としてSNS運用に挑戦することによって、Z世代をはじめとするデジタルネイティブ層にもアプローチできるようになります。
また、SNSは拡散性が非常に高く、上手に運用すれば広告費をかけずに認知拡大に繋げられるため一石二鳥といえるのです。
売り手市場が続いているから
少子高齢化の影響を受け、現在の採用市場は「売り手市場」となっています。
求職者の選択肢が増えたことにより、現在では激しい採用競争が繰り広げられています。
特に中小企業は、大手企業に比べると認知度が低く、尚且つ採用活動に割ける予算も少なくなりがちですので、ただ待っているだけでは求めている人材を確保できません。
このような厳しい状況下で採用活動を成功させるためには、採用広報に力を入れて、積極的に自社をアピールしていかなければならないのです。
採用広報に力を入れるメリット
では次に、企業が採用広報に力を入れるメリットについて詳しく見ていきましょう。
応募数や採用数増加に期待できる
採用広報を行い、自社の情報を様々なメディアで発信していくことにより、認知拡大や興味付けが行えます。
多くの求職者に自社を知ってもらい、興味を持ってもらえれば、応募数や採用数の増加にも繋げられます。
ミスマッチを防止できる
企業にとって人材は宝ですが、大切なのは人数ではありません。
応募数や採用数が増えても、自社が求めている人材とマッチしていなければ意味がないのです。
採用広報を行うことにより、自社のビジョンや目指すもの、解決すべき課題などを伝えられるため、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。
ミスマッチを防げるということは、将来的な離職率も下げられるということですので、まさに一石二鳥といえるでしょう。
採用コスト削減に繋がる
採用広報に力を入れることによって、採用活動にかかるコストを削減しやすくなります。
これまでは、求人サイトや求人広告など、コストのかかる施策が一般的でした。
しかし、現在では自社サイトやSNSなどを駆使して採用活動を行う企業が増えているため、これらの媒体をうまく使いこなせば、ほとんどコストをかけずに優秀な人材を確保できるようになります。
既存採用チャネルの効率UPが見込める
採用広報で自社の存在を広く周知することにより、既存採用チャネルの効率も高めやすくなります。
なぜなら、より多くの認知を獲得できるからです。
また、採用広報で自社の詳細情報を開示することにより、既存チャネルの役割を「認知獲得」ではなく「興味付け」に引き上げることも可能になります。
採用広報の代表的な手法
採用広報に使われる一般的な手法は、以下4つです。
・ペイドメディア
・アーンドメディア
・オウンドメディア
・シェアドメディア
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ペイドメディア
ペイドメディアとは、求人広告をはじめとする有料の広告枠を購入して配信するメディアのことです。
より多くの人の目に触れるため、短期的あるいは一時的なアプローチに効果的といえます。
ただし、間違った方法で運用すると、費用対効果が落ちてしまう可能性が高くなるため注意が必要です。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、
・ブログ
・SNS
・口コミサイト
など、ユーザーが情報発信の起点となるメディアのことです。
社員の口コミや、求職者からの評価などがこれに該当します。
アーンドメディアをメインに採用活動を行う企業は少ないですが、求職者から興味を持ってもらえれば、間接的に採用に繋げることは可能です。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、
・自社サイト
・採用サイト
など、自社が運営しているメディアのことを指します。
様々な情報を自由に発信できるため、他者との差別化を図りやすいです。
オウンドメディアの流入は、会社名の検索がメインになります。
会社名で検索をしてくる求職者以外に見てもらいたい場合は、
・ペイドメディア
・アーンドメディア
などにリンクを貼り、ユーザーを誘導するのがおすすめです。
シェアドメディア
シェアドメディアとは、
・X
・Instagram
・TikTok
をはじめとする情報共有を目的としたメディアのことです。
現在、SNSは生活の一部となっており、年齢や性別問わず様々なユーザーが利用しています。
これらの媒体を駆使して採用広報を行うことにより、求職者と気軽にコミュニケーションが取れるようになり、尚且つ拡散効果も見込めるため、より効率的に採用活動を行いやすくなります。
採用広報の進め方
「採用広報に興味はあるけど、どうやって進めればいいかわからない」
と悩んでいる担当者、経営者の方はたくさんいるでしょう。
そのような方は、以下の手順を参考にしながら慎重に進めてみてください。
採用計画を立てる
採用広報を実施するためには、ひとまず採用計画を立てなければなりません。
「いつまでに、どの部署に、何人必要なのか」を決めることによって、具体的な施策や予算を決めやすくなります。
採用計画が甘いと、情報発信にブレが生じたり、中途半端な結果に終わってしまったりする可能性が高くなりますので、慎重に進めていきましょう。
採用ターゲット・ペルソナを絞り込む
採用計画を立てたら、次は採用ターゲットとペルソナの絞り込みです。
ターゲットとペルソナが決まっていないと、仮に応募数が増えたとしてもミスマッチが起こりやすくなり、結果として採用活動を成功させられなくなります。
このようなトラブルを避けるためにも、事前に求める人物像を明確にしておきましょう。
自社の魅力を言語化・可視化する
採用広報を成功させるためには、自社の魅力を求職者にアピールする必要があります。
とはいえ、限られた情報量の中で自社の魅力を全てアピールすることは難しいため、先ほど設定した採用ターゲット・ペルソナに刺さる内容をピックアップするところから始めてみましょう。
手法やメディアを選定する
採用広報には様々な手法があり、活用できるメディアも多岐にわたります。
ただ、採用計画や採用ターゲットによって、適した手法やメディアが異なるため、自社の方針に合った手法やメディアを見つけておかなければなりません。
コンテンツ制作
ここまでの準備が整ったら、いよいよコンテンツを作成していきます。
採用ターゲットが抱える悩みや課題にフォーカスして、
「どんな内容なら興味を持ってもらえるか?」
ということを考えながらコンテンツ作り、および情報発信を行っていきましょう。
ここで重要なのが、効果測定です。
情報を作って終わり、発信して終わりにするのではなく、定期的に効果測定を行うことによって、採用広報の質を高めやすくなります。
採用広報における戦略設計のポイント
では次に、採用広報における戦略設計のポイントについて詳しく見ていきましょう。
本質を伝えることにフォーカスする
採用広報では、自社の魅力や提供しているサービスを伝えることが大事ですが、それだけだと求職者の心を掴みにくくなります。
大切なのは、自社の本質を伝えること。
自社が、サービスや事業を通して何を実現したいのか、社会に対してどのような価値を提供したいのかを分かりやすく伝えることにより、求職者の共感を得やすくなります。
長期視点を持つ
採用広報は、競争が激化している採用市場で他社と差別化を図るための重要な施策です。
ただし、即効性のある施策ではないため、長期視点を持って取り組まなければなりません。
効果が出ないからといってすぐにやめてしまうと、それまで積み上げてきたものが水の泡になってしまうため、PDCAを回しながら取り組んでいきましょう。
自社の価値観や求める人物像を明確にする
採用広報は、自社が求めている人材をスムーズに採用するための施策です。
そのため、事前に自社の価値観や求める人物像を明確にしておかなければなりません。
この部分が曖昧だと、期待通りの成果を上げにくくなりますので注意が必要です。
仕事のやりがいを具体的に伝える
求職者に興味を持ってもらうためには、仕事のやりがいを具体的に伝えなければなりません。
特に重要なのが、該当ポジションでどのようなやりがいを感じられるのかを、実例を交えて伝えることです。
既存社員にインタビューを行い、その結果を掲載することによって、求職者の興味や関心を集めやすくなりますので、ぜひ試してみてください。
社長・社員の想いを発信する
採用広報を成功させるためには、求職者から「共感」を得ることが大切です。
採用サイトや動画を活用し、社長や社員の想い・ビジョンを伝えることにより、
「この会社で働いてみたい」
と思ってもらえる可能性が高くなります。
まとめ
採用広報とは、自社の魅力や働き方、やりがいなどを”企業が自ら発信すること”です。
これまでは、求人サイトや広告を使って採用活動を行うのが一般的でしたが、近年ではメディアの多様化や求職者のニーズ変化に伴い、ただ待っているだけでは採用活動を成功させにくくなっています。
採用広報に取り組むことにより、認知拡大や興味付けを行えるようになるため、自社に合った優秀な人材をスムーズに採用できるようになります。
ただし、採用広報は正しい方法で進めていかなければ期待通りの成果を得られません。
採用に関する悩みや課題を抱えている担当者、経営者の方は、今回紹介した手順やポイントを参考にしながら、慎重に採用広報に取り組んでみてください。